TERROIR TO TABLEは、「土地の個性と恵み」を大切にし、生産者と皆様の食卓を繋ぐことを目指しています。私たちが追求する「地域の価値を未来へ繋ぐ、持続可能な食のあり方」を探し求めた時、深く共鳴したのが、秋田県鹿角市(かづのし)に根付いた里山の文化でした。
鹿角市の長く厳しい冬。深い雪の下でじっと春を待つ山菜たちは、この土地でしか生み出せない力強い生命力と、特有の豊かな風味、まさに唯一無二の『テロワール』を蓄えて一斉に芽吹きます。
このかけがえのない恵みを多くの方に知っていただき、生産者と共に未来へ繋いでいくことが目標です。
秋田県北東部に位置する鹿角市は、奥羽山脈と十和田の山々に囲まれた自然豊かな地域です。長く厳しい冬を越えた山に、春の訪れとともに芽吹く山菜は、この地で暮らす人々にとって特別な存在でした。雪解けの山に入って山菜を採ることは、春の到来を告げる風物詩であり、古くから地域の暮らしを支えてきた大切な文化でもあります。
こうした山の恵みを活かす文化の背景には、東北の山岳文化として知られるマタギの存在もあります。山を敬い、必要な分だけを分けてもらうという自然観は、山菜採りの習慣にも受け継がれています。山に入る人々は、山の季節や地形を知り尽くし、代々伝わる知恵をもとに山菜を採り続けてきました。
山での山菜採りは野生の動物たちに遭遇する可能性もあり常に危険と隣り合わせですが、お裾分けをいただくような気持ちで山菜採りを楽しんでいます。家庭の食卓ではもちろん、郷土料理としても山菜は欠かせない存在です。採れたての山菜は天ぷらやおひたし、味噌汁などにして味わわれ、春の食卓に季節の香りを届けてくれます。
Q.ご自身で山菜を収穫することになったきっかけは?
私が子供の頃は、山や川で遊ぶことが主流でした。
小学5年生の夏に友人と川で遊んでいた時のこと。川岸に生えていたミズを発見し、当時ミズが大好きだった母に収穫したミズを見せた所褒めてもらえたことがきっかけで、わらびやしどけなど他の山菜も徐々に収穫するようになりました。
Q.山菜の収穫の際に心がけていることは?
天候が悪い時は無理して行きません。山菜が目の前にあったとしても時間を決めて収穫をしています。状況によっては途中で終了することもあります。山の天気と私たちが常に生活をしている場所の天気とは全く別物です。現場に行ってもすぐに引き返す勇気が必要だと思います。後は次の年の為乱獲をしないことです。
また、山に熊を含めた動物がいるのは当たり前です。そこに入っていくわけですからできるだけ動物には会わないように装備をします。音が出るもの(鈴など)、ナガサ(狩猟用の刀)、ヘルメットは必需品です。熊に遭遇してしまった時はその場から逃げずに、大きい声を出して手をあげて存在を大きく見せています。
Q.山菜名人にとって山(自然)とは何でしょうか。
私にとって山は病院で、癒しです。
山に行けば心もリフレッシュしますし、体の痛いところは大体治ります。山に行かない時間も山の様子が心配になりますので、私にとって山とは生活の一部です。
Q.山菜収穫のやりがいとは何でしょうか。
やはり、山菜を発見した時がやりがいですね。宝箱を見つけた時のようにとても嬉しく感じます。
Q.1年を通してどの時期に山菜を収穫していますか。
きのこも含めますと1年の内、4月中旬~11月中旬頃にかけて収穫をしています。
たけのこ収穫の日は、夜中の2時に自宅を出発し、午前11時を目処に山を降りてきます。
Q.山菜を購入される方へのメッセージがございましたら教えてください。
私たちが普段目にしている栽培される野菜などにはない、天然そのものの美味しさを感じてみてください。それぞれの山菜の風味を楽しんでほしいです。色々な調理方法でお試しください。
近年、秋田県はクマの出没報告が全国でも多い地域の一つとなっており、鹿角市でも山林だけでなく農地や集落周辺での目撃が報告されています。2025年秋には市内で目撃情報が連日続き、約2か月にわたりほぼ毎日報告される状況となりました。多い日には1日に10件ほどの通報が寄せられるなど、地域全体で警戒が呼びかけられています。
鹿角市はこれまでに累計1,500件以上の出没記録が確認されており、リンゴ畑などの農地周辺や住宅地近くでも目撃されるケースがありました。
豊かな自然と共に暮らす鹿角市では、地域住民・行政・猟友会が連携しながら野生動物との共存に取り組んでいます。こうした現状を理解し、自然との距離感を保つことが、地域の安全と豊かな環境を守ることにつながっています。
2011年の福島第一原発事故以降、秋田県内および鹿角市においても環境放射線モニタリングが継続されていますが、人体や生活環境に影響を及ぼすレベルではありません。
鹿角市を含む秋田県内の空間線量率は、全国平均や過去のデータと比較しても極めて低い水準(事故前の自然放射線レベルの範囲内)で推移しています。
鹿角市の空間線量は0.02〜0.03マイクロシーベルト程度(2026年2月時点の観測値は約0.025)であり、日常の健康に影響はないレベルです。
秋田県および鹿角市では、県産農産物(米、野菜など)や林産物(きのこ類)の放射性物質検査を実施しています。2011年の事故発生直後を含め、国の基準値を超えたケースは基本的に確認されておらず、安全性は確保されています。秋田県が公表している検査結果によると、放射性セシウムは検出限界値未満(ND)または基準値以下となっています。
里山・鹿角の山菜図鑑
あいこ(ミヤマイラクサ)
茎に細かなトゲがあるため、採り子泣かせの山菜ですが、茹でるとトゲは柔らかくなり、驚くほどクセのない甘みが現れます。灰汁(アク)やえぐみがなく、すっきりとした香りとサクサクとした歯ごたえが特徴です。
おすすめの食べ方: 茎の部分は、醤油のお浸しとして、マヨネーズに付けて、ごま味噌和えとして食べてもおすすめ。葉の部分は、味噌汁の具材や天ぷらの調理にも◎
こごみ(クサソテツ)
くるっと丸まった可愛らしい先端が春の訪れを感じさせます。山菜特有のアクやえぐみがほとんどなく、お子様や山菜初心者の方でも大変食べやすいのが特徴。鮮やかな緑色と、噛んだときのサクッとした歯ごたえ、かすかな「ぬめり」が魅力です。
おすすめの食べ方: 鍋に多めの湯を沸かし、塩を少々入れ、沸騰したらこごみを入れて1分ほど茹でます。醤油&マヨネーズ、お好みのドレッシングにつけて食べる方法がおすすめ。こごみを揚げて天ぷらにしても◎
こしあぶら
透き通るような美しい黄緑色をした新芽は、タラの芽と人気を二分する春の主役。こしあぶらならではの独特の香りとほろ苦さ、軽やかな食感が特徴です。
おすすめの食べ方: こしあぶらのほろ苦さとちりめんじゃこの旨味が広がる混ぜご飯がおすすめ。天ぷら、和え物やおひたし、炒め物にも◎
しどけ(モミジガサ)
正式名称はモミジガサですが、東北地方では葉が開く前は傘のように折りたたまれ、開くとモミジの葉の形に似ていることから「しどけ」と呼びます。ザ・山菜という香りとほろ苦さと食感を持つ、山菜好きがやみつきになる美味しさ。
おすすめの食べ方: しどけのほろ苦さと風味を感じられるおひたしがおすすめ。天ぷら、和え物(胡麻やくるみ、酢味噌、マヨネーズ)やおひたし、酢の物にも◎
タラの芽
言わずと知れた春の代名詞。もっちり、ホクホクとした豊かな食感と、春の目覚めを告げるような心地よいほろ苦さのバランスが絶妙です。
おすすめの食べ方: タラの芽の香りとサクッとした衣の食感を楽しめる天ぷらがおすすめ。おひたしや和え物、肉巻きやバター炒めなどの洋風アレンジの調理にも◎
みず(ウワバミソウ)
沢沿いの清涼な水辺に自生する、秋田の食卓には欠かせない初夏の足音を感じる山菜です。アクが全くなく、シャクシャクとした瑞々しい歯ごたえと、包丁で叩くと出てくる独特の「粘り気」が特徴です。
おすすめの食べ方: 油炒めやお味噌汁の具材として使用していただくのがおすすめ。シンプルにお浸しや浅漬けにしても◎
根曲がり竹
”幻のたけのこ” と言われる「赤竹(あかだけ)」で、節がほんのり赤く色づいた天然のたけのこです。灰汁(アク)やえぐみが少なく、歯ざわり、食感が非常に良く優しい甘味が特徴的。
おすすめの食べ方: 皮が付いたまま焼き、湯気が出たところで皮を剥きます。味噌を付けて食べると根曲がり竹本来の美味しさを堪能できますのでおすすめ。味噌汁の具材として入れたり、チンジャオロースやバター醤油の炒め物にも。
葉わさび
澄み切った冷たい水が流れる沢沿いでしか育たない、環境のバロメーターとも言える山菜です。ツーンと鼻にくる辛さとさわやかな風味が特徴です。
おすすめの食べ方: 葉わさびをみじん切りにし、醤油またはめんつゆに一晩漬けて、あったかいご飯の上にのせて食べる方法がおすすめ。葉わさびを揚げて天ぷらにしても◎












